媚薬は科学的根拠はあるのか

現在ではさまざまな商品が媚薬と称して販売されるようになっていますが、こうした商品に対して科学的根拠を求めるのはかなり難しいと言えます。
媚薬を追い求める人間は決して珍しいものではなく古くは数千年も昔の時代から追い求められていたとされていますが、その中でもまだ科学的に明らかに媚薬としての効果があると判断出来るようなものは存在していません。
一応「効果があるのではないか」と言われるものには総じてフェニルエチルアミンと呼ばれる脳内物質に作用する成分が含まれており、このフェニルエチルアミンは一種の向精神薬のような効果が期待出来るとされています。
具体的にはチョコレートや赤ワインなどの発酵食品にこのフェニルエチルアミンが多く含まれているため、これらの食品を意図的に摂取させれば媚薬的な効果が期待できる可能性はあるでしょう。
特にチョコレートは古くから媚薬としての効果があると信じられてきた食品であるため、こうした関連性は無視出来ません。
実際このフェニルエチルアミンとチョコレートの関係性を指摘して「だからチョコレートは媚薬として効果がある」と論じられるところもあるのですが、しかし同時に確認しなくてはならないのが「フェニルエチルアミンは体内に入っても速やかに代謝される」というところです。
脳内に大量にフェニルエチルアミンが蓄積されればそれこそフィクションの世界で使われる媚薬と似たような効果を期待することが出来るでしょうが、体内に入ってもかなり早い段階で代謝されてしまうことを考えるとそこまで大量のフェニルエチルアミンを脳内に蓄積させるのは難しいでしょう。
もちろんプラシーボ効果、いわゆる思い込みによる作用を期待することは可能です。
しかし思い込みによる効果は薬のような強烈な作用を示すこともあまりありませんから、科学的根拠のある媚薬というのは非常に難しいと言えるでしょう。

媚薬の歴史を紐解く

媚薬とは主に女性用の精力剤のことを言い、女性の性的神経に作用し、性的興奮を高める効果があるとされています。現在では粉末、錠剤、液体などの様々な形態、また日本製、海外製など生産国を様々にした媚薬が販売されており、インターネット、店頭などで簡単に購入することが可能になっています。
その媚薬ですが、歴史は昔に遡り、古くは惚れ薬と呼ばれ、魔女の秘薬とされていました。ワイン、特定のハーブなどが原料とされ、相手に恋愛感情を起こさせるために幅広く使用された歴史があります。古代より媚薬は世界中で製造され、恋愛感情を喚起させるために使用されてきました。しかし、あらゆる魔術、占星術、薬草学などを威圧した初期キリスト教会の指導者たちは当然に媚薬も問題視し、12世紀にはヨーロッパのほぼ全土において惚れ薬の使用、または製造が禁止され、投獄、拷問、死刑など、使用者や製造者には厳しい罪が科せられました。それでも惚れ薬の使用、製造は影で密かに行われ、現代まで続く媚薬の歴史となりました。
その惚れ薬の人気が最高潮に達したのは中世であり、製造法を記した書物や魔術の指南書などが数多く流通しました。その惚れ薬の原材料には現在ではおよそ考えられない材料も使用されており、なかには動物の死骸の一部、動物の血液、人間の血液なども、惚れ薬には含有されてきた歴史があります。イギリスの古い魔術書には自身の小指の血液を3滴飲ませれば、相手はたちまち恋に落ち、他の人に目を向けなくなる、といった記述、またとある詩人は、黒猫の肝臓を粉末状にしたものをブラックティーに混ぜ、黒いティーポットで煎じることにより強力な媚薬が完成すると信じていた、という記述も書物には残されており、中世においての媚薬の人気が相当に窺える内容となっています。